レビー小体型認知症

80代前半 女性

 

息子様と二人暮らしの女性です。

夜間の精神症状が激しくご家族は困り果て相談に来られました。

当時、精神科の医師からは睡眠薬が処方されていましたが、その効果はほとんどなく、人物誤認、妄想、易怒性強く、真夜中の3時に怒鳴り散らし、外へ出ようとしていました。

このようなことが毎日続き困っていらっしゃいました。

日中のデイサービスも「お風呂屋には行かない」とめったに利用できていませんでした。

短期記憶障害も中程度以上あり、説得してもすぐに忘れてしまいます。

日中独居で、昼間も傾眠傾向、夜間は精神症状が強く、ご家族は自宅での介護に限界を感じていらっしゃいました。

 

お会いすると歩行もすり足でパーキソニズムもみられました。

ものすごく多弁で興奮状態も見られました。

レビー小体型認知症を疑い認知症専門医の受診を提案しました。

受診の際にはデイサービスから情報提供を行いました。

 

医師からはレビー小体型認知症で矛盾はないと診断され、夜間の精神症状はレム睡眠行動障害と説明されました。

それに適したお薬が処方されました。易怒性を穏やかにするお薬と、レム睡眠行動障害に対するお薬でした。

医師にはデイサービスから情報提供を適宜行い、薬によるコントロールを行っています。

服薬効果は2週間ほどで確認され、次第に穏やかになり夜間の症状も大きく緩和されました。現在週6日デイサービスに通い体調管理を行うことで自宅での生活を送ることができています。

 

レビー小体型認知症の方の多くにレム睡眠行動障害がみられるようです。夜間のこの症状に対応することがとても家族には負担となります。この方は、

息子様を自分の夫と誤認し、

飼っていない犬がいなくなった思い込み、

外に探しに行くのだと出ていこうとし、

夜中の3時だということがわからず

興奮し怒りまくって

制止も聞かずに

疲れ果てるまで続くと言う症状でした。

ご家族だけの対応で納めようとするのははっきり言って困難でしょう。

この症状を収めるにはレム睡眠に入らないようにするお薬が効果的です。

まよわず服用すべきと考えます。

 

また、この症状は夜中だけではなく、昼間でもウトウトとするとこの行動障害が出ることがあります。軽減するには日中の傾眠傾向を少なくするのが効果的ですが、傾眠傾向になりやすいのもこの病気の特徴だそうです。

できるだけ、適度な刺激を与えることで覚醒状態を保つことが必要です。

その上で興奮を抑える服用も適宜必要になる場合もあります。

 

レビー小体型認知症はお薬の処方がとても難しい病気です。

 

適切に服薬コントロールするためには、認知症の専門医を受診し、認知症の専門のデイサービスから医師に情報提供してもらうことが大切となります。